MQRI ART
A ROOM OF INTERACTIVE GENERATIVE ART — REAL-TIME, IN YOUR HANDS.
断面
核融合炉のなかで磁力線がどう巻いているかは、一枚の切り口で見る。ここでは入れ子の環の磁力線を本当に積分して追い、切り口を突き抜けた点だけを暗い板に打つ。輪も島も描いていないのに、点が集まると輪になり、巻き数 q が有理数を通るところには暖色の島が生まれる。一夜のうちに線が目覚め、島が縁から生まれて内へ移り、やがて誤差磁場が強まって島が重なり海になり、眠って、次の夜が来る。板をなでると q が変わり、島が散って別の島が生まれる。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE膜
生命の花の針金に、石鹸膜を張る。膜は重力で下へ排水して薄くなり、厚さから実際の波長で干渉の色を計算するので、銀、藁色、マゼンタ、青と、本物の順に色帯が下へ流れていく。いちばん薄くなった上は黒膜になり、やがて破れて雫が飛び、空いた区画はまた浸される。針金は二万粒の光る点、雫は針金を伝って一番低い所から落ちる。なでると流れる向きがかたむき、つつくと息で膜がふるえ、長く押すと新しい夜が始まる。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE代謝
生命の花の線に沿って、模様を作る物質が絶えず生まれては消えていく。供給と除去のある開放系(反応拡散)を本当に計算し、物質ひとつぶずつを二十六万の粒で追う。形は同じままなのに、粒は生まれた瞬間だけ暖かく光り、古くなると冷え、数秒で入れ替わる。右上の数字はその平均年齢と、一秒に入れ替わる割合の実測。一夜ごとに、兆し、ひらき、満ち、供給が止まって青い砂になり、また種から育つ。つつけば新しいものを注げ、長く押すと供給が止まる。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE干渉
暗い水面に七つの針を立て、同じ位相で波を打つ。針の並びは生命の花の中心と同じ、真ん中にひとつ、まわりに六つ。水に浮いた埃は波の大きい場所で揺すられ、静かな場所へ滑っていくので、干渉の格子が埃の集まりとして浮かぶ。針の間隔と波長がぴたりと等しいとき、七つの輪は生命の花になる。描いてはいない。波が重なって現れる。上下になでると波の間隔が変わり、花が現れては崩れる。つつけば一滴、長く押せば針が止まり、波が消えていく。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE冷却
熱を抜くと、粒はひとりでに並ぶ。一万の粒を、柔らかくぶつかり弱く引き合うだけの決まりで動かし、中心だけを冷やした。外は熱い気体のまま散っている。冷えた粒は誰にも並べられずに六方に落ち着き、生命の花の円の中心の格子がそのまま現れる。描いたのではなく、冷えた。一夜(5分)で凍り、満ちて光の環が走り、外から熱が戻って溶け、また凍る。つつけば溶け、長く押せば冷え、なでれば冷たい中心が動く。
2026 · WebGL2 · PARTICLE SIMULATION · INTERACTIVE倍音
一本の弦が、七つの倍音の重ね合わせで本当に震えている。110Hzの弦は目に追えないので、ストロボで照らしたのと同じ計算でゆっくり見せる。まわりに漂う四万の塵は、弦の速さの谷に押されて節に集まり、鳴っている倍音の数だけ段が現れる。しるしをたたくとその倍音だけが鳴り、横に引いて放せば弾ける。指を上へ滑らせると、倍音の列が順に昇っていく。放っておいても、一夜のあいだに弦はひとりでに満ちて、散る。
2026 · WebGL2 · SOUND · INTERACTIVE独楽
黒い漆の独楽に、金粉で生命の花を蒔いた。床の上の独楽をそのまま物理で解いているので、傾けて放すと少しずつ起き上がり、首を振り、眠るように立ち、回転が落ちると数秒で倒れる。速いうちは花が環にしか見えず、遅くなると花が現れる。縁から飛んだ金粉は床に環を残す。さっと払えば回り、つつけば揺れ、長く押すと床が傾く。倒れても、少し待てば誰かがまた回す。
2026 · WebGL2 · PHYSICS · INTERACTIVE雨の種子
石に、見えないほど浅く生命の花を彫った。そこへ半角カタカナの雨が、一粒ずつ落ちていく。溝に入った粒は円弧に沿って流れ、交点で枝分かれし、通った跡が濡れて光る。落ちている間は乱れていた文字が、溝の中では五十音の順に並ぶ。雨が続くと花が濡れ跡として現れ、やむと乾いて、溝から霧が立ちのぼる。その霧が次の夜の雨になる。五分でひと夜。タップすれば一滴、なでれば風、長く押せば雨がやむ。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE同期
生命の花の十九の円が、それぞれ少し違う速さで息をしている。円は粒でできていて、輪の上を小さな光の冠がまわる。円どうしは重なっているところを通してだけ、相手の息を引き寄せる。夜のはじめはばらばら。真ん中から息が伝わり、やがて全部が同じ息になって、重なりが琥珀色に灯り、そのときだけ図形が現れる。しばらくすると、ほどけ、粒は散って、また次の夜。つつけばその円の息がずれ、左右になでれば引き合う強さが変わり、長く押せばその円が皆を先導する。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE充填
みかんを八百屋が積むあの形は、球をいちばん密に詰めた形で、メタトロンキューブの十三の球はその一単位。ここでは塵が格子の座席へ集まって球になり、殻ごとに結晶が育つ。一枚の面で切ると、断面に六方に並ぶ円が現れる——描いたのではなく、切ったら出てきた。右上の密度は測っている値で、殻が増えるほど 74.05% に寄っていく。つついて殻を足し、長く押して切り、二本指で切る面を変えてほしい。
2026 · WebGL2 · RAY CAST · INTERACTIVE八胞
四次元の立方体は、8つの立方体(胞)でできた箱。ダリの十字の展開図が床に立ち、光の筆が8つの箱を描く。腕が四次元の奥へ倒れて折り上がると、箱の中に箱が現れる。四次元で回すと内箱が外箱になり、等傾回転では16の頂点が4本の絡んだ輪を描く。w=0で切れば、わたしたちが本当に見るガラスの立体になり、箱が通り抜けるとき四面体から八面体へ姿を変える。最後に三次元球面へ貼ると辺は円弧になり、8つの球面立方体が空間を敷き詰める。四次元の計算はすべてGPUの頂点シェーダで走る。約5分半の一巡。
2026 · THREE.JS · 4D · GPU · SOUND · INTERACTIVE極彩
生命の花の針金に、一枚の石鹸膜を張る。色素はどこにも使っていない。画面の色はすべて膜の厚さから、光の干渉で生まれる。光の筆が円を一本ずつ描き、膜は花がひらくように区画ごとに張り、薄い膜が茸のように昇りながら色を混ぜていく。やがて膜は痩せて黒くなり、ひとつずつ割れて、闇のあとにまたひたされる。動かすと膜が傾いて色が移ろい、押し続けると指の温もりで虹の輪が広がる。ホイールで光の色を、昼から夕陽、月光へ。
2026 · WEBGL2 · FLUID · THIN-FILM · INTERACTIVESUN / SYSTEM — AMATERASU / KAMI
同じ太陽を、二つの知覚様式で見る。切り替えではなく、溶け合う。システムの目で見れば、粒状斑の光球、彩層の赤い縁、紅炎、コロナの流線、磁気ループ、太陽風、計器の目盛り。神の目で見れば、同じ円盤は艶をもつ鏡になり、光の髪はこちらの指の方へ傾き、光背が揺れ、霧へ光の柱が落ちる。呼吸も違う。システムは規則正しく、神は生き物のように不揃い。両方に共通する出来事として「隠れる」がある。システムでは日食、神では岩戸。約75秒ごとに見方が入れ替わり、タップで即座に、押し続けると隠れる。
2026 · THREE.JS · SHADER · INTERACTIVE光の社
鳥居も社殿も描かない。暗い空間に、光の輪の門が奥へ奥へと連なるだけ。門ごとに二本の金の柱が立ち、上には結界の糸、足元には光の道と飛び石の灯。黒い床は水面のように門を映す。門はわずかにずれ、傾き、呼吸している。何もしなくてもゆっくり奥へ歩き続け、回廊に終わりはない。ときどき灯が奥へ走り、そのあと場は一度しんと沈む。三十六の門ごとに曼荼羅の内陣が近づき、通り抜けると、また回廊が続く。指を動かせば視線の先の門が応え、押し続ければ歩みが速まる。
2026 · THREE.JS · 3D · INTERACTIVE福岡生紋
福岡の紋を、描いて固定するのではなく、その日その時の福岡の気配から立ち上げる。中心は街。北に博多湾が開き、うねりと風の波が本当の波向と風向で動き、潮で岸が息をする。南には三つの尾根が重なり、山から湾へ三本の川が流れ、南岸の街の灯は日が沈むと灯る。核の花は季節で替わり、春は梅、夏は蓮、秋は菊、冬は椿。太陽と月はいまこの瞬間の福岡の空の方位にあり、夜の海には月の道が落ちる。時刻・季節・風・波・潮・月齢、すべて本物の値で。指を動かすと、その向きに風が吹く。
2026 · THREE.JS · SHADER · LIVE DATA · INTERACTIVE蜂の視界
画面の中央に、静かな白い花がひとつ開く。人の目に見える花。時間がたつと、その同じ花の上に別の知覚の層が浮かび上がる。中心は光を吸う暗い的になり、花弁の軸に着地の灯が並ぶ。花のまわりに電場の力線が呼吸する。偏光の蝶結びが回り、時間が速く震える。世界が六角の複眼に割れる。全部が重なったとき、花は円と黄金角の秩序でできた曼荼羅として立ち上がる。蜂が実際に持つ知覚(紫外線・電場・偏光・複眼)から起こした。指を中心に近づけるほど深く、押し続けるとさらに深く。
2026 · THREE.JS · SHADER · INTERACTIVE · SOUND受粉
蜂は描かない。見えるのは、暖かい光の粒と、それが花から花へ運ぶ小さな花粉の光だけ。闇に蕾がひとつ。光が初めて触れた瞬間に蕾は開き、波紋がひとつ広がる。花粉が運ばれるたび二つの花のあいだに糸が結ばれ、糸が増えるほど花は関係の長さに引かれて位置を変え、やがて円が浮かんで生命の花が立ち現れる。光が降りるたび、さざ波が網の全体へ走る。夕暮れには花弁が散って種になり、光は眠り、別の場所で次の蕾が生まれる。約六分半の一夜。タップで種が降り、音が目覚める。
2026 · THREE.JS · INTERACTIVE · SOUND生紋
家紋は、生命の形を一度だけ切り取って封じた象徴。ここに置くのは、封じる前の状態。中心の一粒から葉脈のように枝が伸び、節に金の点が灯り、蜂の巣のような小房が結ばれ、輪がひとつずつ現れて、八方の紋が立ち上がる。完成しても止まらない。呼吸のように膨らみ、金の脈が外へ走り、葉先は枯れては別の場所に生え直す。触れると、その一区画が花弁のようにわずかに開き、内側の層が透ける。開くたびに、別の紋が生まれる。
2026 · CANVAS · INTERACTIVE作図
紙の上で、コンパスが生命の花を描いていく。針を立てる場所はいつも、前に描いた二つの円が交わるところ。だから定規はいらない。ユークリッドの最初の命題を、五十七回くり返すだけ。鉛筆で下描きをし、筆で墨を入れ、消しゴムで下描きを消すと、花だけが残る。紙を替え、朱や藍で、また最初から。急ぐならタップで先へ。
2026 · CANVAS · INTERACTIVE緞子
生命の花を、緞子に織る。糸は経も緯も一本ずつそこにあって、模様は色ではなく、どちらの糸が浮いているかの違いだけ。だから光の向きで、花は現れたり消えたりする。織機は下から一段ずつ織り上げていき、織る前の段には経糸だけが張られている。白緞子、緋に金の金襴、藍、黒繻子。寄れば糸の撚りまで見える。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE氷
冬の窓。硝子に彫った生命の花の線を核にして、霜が育っていく。六角の格子に水蒸気が拡散し、凍った縁に少しずつ付いていく——雪の結晶と同じ仕組みで、蒸気の量と付き方を変えると、樹枝にも扇にも板にもなる。育ちきったら上から溶けて、また別の晶癖で凍る。タップすれば息で溶け、指でなぞれば硝子が出て、向こうに夜の街の灯りが見える。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE砂
黒い盤に白墨で下図を引き、黒い砂で輪郭を落とし、五色の砂で区画をひとつずつ埋めていく。生命の花の線は五十七、区画は百五十一。完成したら、しばらく眺めて、金剛杵で八つに切り、刷毛で中心へ掃き集め、流す。そしてまた別の彩で始める。砂は一粒ずつ落ちていて、指でなぞれば掃けるし、タップすれば息で散る。壊すところまでが作品。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE窓
石の部屋の壁に、生命の花の丸窓。十九の円を鉛線で組み、区画ごとに色硝子を嵌めた。日が巡るあいだ、硝子を通った光が床に落ちる。昼は小さく縮み、夕方には長く伸びて壁を登っていく。舞う塵のなかには、色の柱が立つ。床の花も塵の柱も、光の道筋を一点ずつ太陽まで遡って求めている。朝・昼・午後・夕を選び、硝子の彩を替え、部屋のどこからでも眺めてほしい。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE紋回転
今度は、紋そのものを回す。三つ巴を120°/frameで回すと、ぴたりと止まって見える。180にすると六つの頭を持つ星になり、90では十二の腕が生える。一つ巴から四つ巴、太極、三日月、三つ鱗、九曜、梅鉢、桔梗、麻の葉、五芒星、風車、蛇の目——十八の紋と図形を、太極回転と同じ速さの目盛りで。何が見えるかは、その紋がもともと持っている対称の数と、画面の拍とのかけ算で決まる。蛇の目だけは、どれだけ回しても何も起きない。
2026 · CANVAS · INTERACTIVE糸かけ
木の板に釘を円に打ち、素数の歩幅で糸を掛けていく。三十一、二十九、二十三——大きな素数から順に、色を変えて。すると内側に、誰も描いていない円が浮かぶ。その半径は式でぴたりと決まっていて、糸が真っ直ぐであるほど円は正しい。ここでは糸が一本ずつ巻かれていく時間を、そのまま見せている。タップすれば一本、放っておけば自動で。掛け算の糸に切り替えると、円のかわりにハート型の曲線(カージオイド)が糸の中から現れる。
2026 · CANVAS · INTERACTIVE相接
大きな円のなかに、互いに触れ合う円を三つ。すきまにまた円、そのすきまにまた円——どこまでも続く。デカルトが1643年に見つけた定理は、この無限の円の大きさをすべて言い当てる。しかも最初の四つを整数にすると、生まれてくる円の曲率が残らず整数になる。ここでは一つひとつの円にその数を刻み、見えている範囲だけを画素の大きさまで生み続ける。寄っても、寄っても、数は途切れない。四つの根を選んで、それぞれの無限を潜ってほしい。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE捩れ
生命の花を二枚、透明な紙に描いて重ね、ほんの少し捩る。すると小さな花の上に、それよりずっと大きな花が浮かび上がる。モアレと呼ばれるこの現象は、周期がぴたりと式で決まる——捩れ角が小さいほど、大花は大きくなる。同じ数学で、二枚の炭素の膜を1.1°捩ると超伝導になることが2018年に見つかった。ここでは指で捩れ角を変えられる。整合する角度に来ると右上が知らせ、魔法角にも跳べる。ぼかせば、大花だけが残る。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE五つの箱
黄金比の長方形を三枚、互いに直角に組む。その十二の角を結ぶと正二十面体になり、面の中心をつなぐと正十二面体が現れる。そして正十二面体の二十の頂点の中には、五つの立方体がぴたりと隠れている——どの頂点も、ちょうど二つの箱に使われる。箱の一つひとつには正四面体がひとつ、同じ向きで宿る。ここでは全部を式で置いて、頂点が本当に重なるか、辺の比が本当に黄金比か、その場で数えて右上に出している。膨らんでは消える五色の箱を、ゆっくり回して眺めてほしい。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE七弁
生命の花は、どこに咲かせるかで花びらの数が決まる。球の上では五弁が十二だけ残り、平らな紙の上では六弁、そして曲がりの負の世界——双曲平面——では七弁の花が、縁に近づくほど小さく、果てしなく咲く。ここではその世界を円板に写し、鏡映で厳密に折り畳んで描いた。指で撫でると平面そのものが滑り、縁から新しい花が無限に湧いてくる。八弁、九弁、十二弁にも切り替えられる。三つの世界で一つの花を見比べる、三部作の結び。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE六百胞
正二十面体には四次元の兄がいる。六百の正四面体でできた六百胞体。その百二十の頂点は、黄金比でできた四元数そのもので、十二本の大きな環にきっかり十個ずつ並んでいる。ここでは頂点を式で置き、辺と面と胞をその場で数え、四次元のオイラーの等式がゼロになるのを右上で見せる。四元数を掛けると、百二十の頂点が一斉に自分の環に沿って流れる。三次元へ降ろした影を回して、四次元の玉ねぎの奥をのぞいてほしい。双対の百二十胞体も重ねられる。
2026 · WebGL2 · 4D · INTERACTIVEジターバグ
中心から頂点までの長さが、辺の長さとぴたり同じ。その釣り合いから「ベクトル平衡」と呼ばれる立方八面体は、八枚の三角形がそれぞれ少しずつ回りながら中心へ寄るだけで、途中で正二十面体になり、最後は正八面体に閉じる。バックミンスター・フラーが手の中で見せた踊り。ここでは三角形を本当に剛体のまま動かし、共有する頂点が離れない距離を毎回きちんと解いている。右上の数字がその証拠で、二十面体になる角度は22.24°、比はちょうど sin 72°。指でたたんで、ひらいて、途中の形を眺めてほしい。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE回折
生命の花を、光の通る細い隙間にした。光は進むにつれて形をほどき、縞と斑に溶けていく。それでも周期のある模様には、決まった距離で元の形が厳密によみがえる瞬間がある——タルボ効果。ここでは光の波をそのまま計算で運んでいるので、その距離も、よみがえりの一致度も、右上の数字で確かめられる。白い光で通せば、色ごとに戻ってくる距離が違い、よみがえりが虹に分かれる。周期のないシュリヤントラや五芒星は、溶けたきり戻らない。指で距離を送って、消えては戻る花を眺めてほしい。
2026 · WebGL2 · GPU FFT · INTERACTIVE五重格子
五回対称の模様は、決して繰り返さない。それでもでたらめではなく、五方向の平行線の束を一枚に重ねるだけで、太いひし形と細いひし形が隙間なく平面を埋めていく。1981年に数学者デ・ブラインが見つけた、この静かな作り方をそのまま使った。束を指でずらすと、線を越えた交点のタイルだけがひらりと裏返る。太いタイルと細いタイルを数えれば、その比はいつも黄金比に落ち着く。総和を半分ずらせば、星の多いもうひとつのペンローズが現れる。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE火線
二つの円が重なってできる魚のかたち、ヴェシカ・パイシス。レンズという言葉はレンズ豆から来ていて、レンズ豆はこの形をしている。つまりこの聖なる図形は、光学器械だ。ここでは光をそのまま通した。屈折の法則と、色ごとにわずかに違う屈折率だけを与えて、何千本もの光線を追う。すると光の集まる線——火線——が向こう側に浮かび、その縁に虹がにじむ。描いたのではなく、集まった。円の間隔を変え、水や金剛石に替え、光の向きを傾けて、火線が形を変えるのを見てほしい。
2026 · WebGL2 · RAY TRACED · INTERACTIVE黄金角
ひまわりの種の螺旋は 137.5° ずつ回って並ぶ。この数を、ここでは式に書いていない。中心に生まれる芽が、先に生まれた芽から押し返され、いちばん空いた向きに置かれ、そのまま外へ流れていく——それだけで、角度はひとりでに 137.5° へ寄っていく。1992年に二人の物理学者が磁石の雫で確かめた仕組みそのもの。成長を速めれば二列に並び、ゆっくりにすればフィボナッチの螺旋が立ち上がる。右上の数字は測っている値で、点線が黄金角。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE環流
中心を昇り、外を降りて、また中心へ。神聖幾何学が「トーラス」と呼ぶこの環流は、物理では一つの輪をめぐる電流の磁場そのものだ。ここでは百五十年前の閉じた式(完全楕円積分)で磁場を厳密に解き、十五万の光の粒を磁力線に沿って走らせた。線の密度は磁束——鉄粉が紙の上に描くのと同じ、本物の濃さ。輪を二つにすれば中心が一様に整い、逆向きにすれば中心がくぼむ。「双極子」に切り替えると、遠くは同じで輪のそばだけ嘘になるのが見える。
2026 · WebGL2 · GPU PARTICLES · INTERACTIVE十二の疵
球に生命の花を咲かせようとすると、必ず失敗する場所がある。六角形の花はどこまで細かくしても、五弁の花が十二だけ残る——これは腕の問題ではなく、オイラーの公式が球に課す約束。ここでは正二十面体を測地線で分けた頂点に円を置き、青磁の球に花を刻んだ。避けられない十二の疵には金を流した。まわして、細かさを変えて、疵を探してほしい。右上の V−E+F はいつでも 2。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE影の主
十三の円と七十八の線、メタトロンキューブは影である。三回対称の軸に沿って落ちた影に、厳密に住んでいる立体は三つ——立方体、正八面体、そして二つの正四面体が組む星型八面体。「五つのプラトン立体がすべてある」は半分だけ本当で、正二十面体は外の六角形が黄金比へ滑ったときに初めて住み、正十二面体は六と十二の環を要る。ここでは円を滑らせて比を変え、影から主を立ち上がらせる。頂点から真下へ伸びる糸が、立体と平面の点を結ぶ。立ち上がった主の影の線だけが、その主の色で灯る。数字を押せば主を選べる。彩は夜・墨・藍。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE須弥
シュリヤントラの九つの三角形は、「それらしく重ねる」と交点が合わない。本物は条件で決まる——十九の交わりがすべて一点で結ばれるように、毎フレーム連立を解いている(残差は右上に、十のマイナス十六乗)。重なった数だけ紙が高くなり、それは立体のシュリヤントラ、須弥山の読み。金の点を叩けば光が線の上を走り、三角に触れれば縁が浮かぶ。軸の四つの輪をずらしても交わりは保たれる。「比」で以前の正三角形版と往復すると、ずれが朱で見える。彩は五つ、伝統・夜・水・朱・翠。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE正本
生命の花の正本を、光学ガラスの円盤に浮き彫りにした。線は円柱レンズで、太陽の光を床に集めて結ぶ。視線と太陽が揃う瞬間、床に結んだ光の線が同じレンズ越しに眼へ戻り、全模様が金と藍に燃える——再帰反射という、嘘のない現象。外れているあいだは線が銀に煌めき、太陽は視線を中心に8の字を描いて、百二十秒ごとに揃う。ドラッグで視点、Shiftと二本指で太陽、Rで正本の図面そのものを赤く重ねて照合できる。
2026 · WebGL2 · PATH TRACED · INTERACTIVE水面
湖の面に、おなじ日はひとつもない。風がわずかに強まれば肌理が変わり、膜がひろがれば鏡の帯が流れ、雲のかたちひとつで水の色まで入れ替わる。映画の海とおなじFFT波浪をGPUで解き、光の道は貼り絵でなく波面の傾斜統計という物理から立ちあがる。正午から真夜中までの完全な一日、春夏秋冬、雲七形、絹から硝子までの水の肌——右下の「調」で、きょうの水面をあなたが調える。触れれば波紋、撫でれば視線はどこへでも、真下にも真後ろにも。凪の夜は、星が水面に降りてくる。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE検卵
卵に光を透かして中の命を検める、養鶏の古い手つき。ここでは光源を外に置かなかった——照らしているのは、卵のなかの命そのもの。殻を抜ける光路を波長ごとの吸収で積分しているので、中心の琥珀も縁の深紅も、描いたのではなく光が厚みを通ってきた結果として出てくる。内膜の血管は反応拡散が胚の一点から本当に育て、血は光らず、背後の灯りをさえぎる影として枝を伸ばす。長く押せば光をかざせて、つつけば中の命が蹴りかえす。一〇四秒がひとつの一生——うす明かり、鼓動、血管、ひび、孵化の閃光、そして静寂。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE12
人類が12でつくってきた環を、ひとつずつ訪ねる十二の作品。音の環、星の環、暦の環、月の環、からだの環、業の環、盤の環、色の環、はなしの環、まもりの環、感覚の環——そして最後に、環そのものについての環。どの環にもかならず一箇所、閉じないところがある。五度圏は23セントとじ残し、月はひと年に12.368回みちる。それでも人は継ぎ目に金を流して、環をとじて生きてきた。入口の「結」から十二作すべてへ、「栞」からことばへ。
2026 · 12 WORKS · WebGL2 · INTERACTIVE朔望
月は地球をめぐり、めぐりながら共に太陽をめぐる。その二重のめぐりが、銀の三つ編みを編んでいく——太陽から見れば、月は一度も後戻りしていない。三つがひとすじに並ぶ日、潮は満ち、光は欠ける。月の窓には磨いた銀の円がひとつ、傍らにその日の月の名。ひらいた瞬間に映るのは、今夜の月。
2026 · CANVAS · INTERACTIVE星の運行
太陽を中心に、六つの星がめぐる。視点を地球へ移すと、星はときに立ちどまり、あともどりして輪を描く——古代の人びとを千年悩ませた「逆行」が、軌跡としてそのまま現れる。ふたつの星をむすぶ線は、八年かけて五弁の花を編む。軌道要素から解いた本物の運行。ひらいた瞬間に映るのは、今日の空。
2026 · CANVAS · INTERACTIVE太極回転
止まっているとき、それはただの陰陽図でしかない。回転の速さが画面の更新間隔と噛み合いはじめると、そこに誰も描いていない模様が現れる。4枚の花、6回対称の車輪、ゆっくり逆回りに転がる二重の像——どれも、回転する黒と白のあいだにしか存在しない。速度を決めるのは指先ひとつ。
2026 · CANVAS · INTERACTIVE巴回転
円のなかに、勾玉がひとつだけ置いてある。回すと、三つになる。速度を360で割り、既約分数にしたときの分母が、そのまま紋の枚数になる——二つ巴、三つ巴、八つ巴。巴紋を巴紋たらしめているのは勾玉ではなく、そのまわりの余白のほうだった。
2026 · CANVAS · INTERACTIVEQUINTESSENCE
一つの立方体の中に、残る四つのプラトン立体がすべて入っている。そして視線を体対角線に重ねると、三次元の頂点が平面へ落ち、その影はちょうど13の点になる。神聖幾何学と呼ばれてきた図像は、装飾ではなく、立体を正しい角度から見たときの影だった。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVEMETATRON
十三の球と、そのすべてを互いに結ぶ七十八の光径。写本では平面に描かれてきた十三点は、本来ベクトル平衡体——中心から頂点までと、頂点どうしの距離が等しくなる、ただ一つの立体——として空間に立っている。スライダーで平面と立体が連続的に入れ替わる。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE夏至・光の静止点
一年で最も長く光が地上に留まる日。太陽は空の北限に達し、ほんの一瞬、季節の歩みを止める。そこから光は減りはじめる。最大であることと、反転の始まりであることが、この一点に重なっている。地球の傾き23.44°と、大気を満たす散乱光。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE量子曼荼羅
これは絵ではなく、方程式そのものである。時間依存シュレーディンガー方程式をGPUで実時間解法し、聖なる幾何学の場に量子の波が干渉し、回折し、曼荼羅を編み上げる。指でなぞって波を放ち、障壁を描き、「観測」で波束を収縮させる。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVEHOPF LOOM
四次元の球面 S³ は、無数の円で隙間なく編み上げられている——Hopf ファイブレーション。その見えないはずの織物をステレオ投影で三次元へ降ろし、正六百胞体などの四次元正多胞体を重ねて、絶えず変形しながら呼吸する織機として描く。1本指でまわし、2本指でひらき、四次元を回す。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVEIRIS AQUAE
夕暮れの海に浮かぶ虹色は、絵の具ではなく厚みである。膜の表と裏で跳ね返った光が干渉し、厚みに噛み合った色だけが強め合う。シャボン玉も油膜も玉虫の翅も色素を持たない——構造が色になっている。13の波長で個別に計算し、CIE1931で人の目に見える色へ戻した。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVESHIMMER
同じ薄膜干渉を、海ではなく闇に放つとどうなるか。流れる膜のうえで色が生まれては消え、手続き的に散らばるグリントが星のように瞬く。虹色は塗られたものではなく、そこにある厚みが光に返している答えである。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVEQUANTA
確率には、地形がある。量子力学が語るのは「どこにあるか」ではなく「どこにありそうか」で、その分布を等高線で切ると山と谷を持った風景が現れる。量子カーペットは規則的すぎて偶然には見えないが、誰も描いていない——方程式が持っていた模様が、解いた結果として立ち上がっている。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVEHIVE RESONANCE
六角形の巣板に周波数を通すと、定在波が紋様として立ち上がる。174から852まで、周波数を変えるたびに巣の幾何学は別の顔になる。230Hzは蜂の羽音——巣がもともと知っていた周波数だけ、模様の落ち着き方が違う。触れて、共鳴をはじめる。
2026 · WebGL2 · SOUND環
24の節気と、その内側の七十二候。まわすと季節が動き、それぞれの節気がいつ始まり、そのころ何が起きると言われてきたかが現れる。「今日」を押せば、いまの季節に戻ってこられる。暦とは、時間を円に描いた地図だった。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE旋光
闇を軸にして、光そのものが回る。角運動量に比例して周波数をずらすと、場の全体が厳密な剛体として回りはじめる——見かけの回転ではなく、回転ドップラーという本物の機構。花弁のあいだの暗線と中心の闇は、描き込んだ影ではなく場の厳密なゼロ、渦の芯である。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE水の記憶
月夜の石鉢。椀の底に揺れる網目は絵として描いたものではなく、200万個の光子を水面で屈折させて、底に届いた密度をそのまま光にしている。触れた場所は記憶層として鉱物のように堆積し、やがて忘れられていく。水は形を持たないが、触れられたことは覚えている。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE無限曼荼羅
中心へ落ちつづけて、永遠に届かない。対数極座標では、中心へ近づく運動が「まっすぐ進む」ことに変わるので、拡大が終わらない。環をひとつくぐるたび紋様は生まれ変わり、二度と同じ層は現れない。曼荼羅の中心ビンドゥへは、近づけるが到達できない。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE方壇曼荼羅
円の曼荼羅が「落ちる」なら、方壇の曼荼羅は「入っていく」。距離を円ではなくチェビシェフ距離 max(|x|,|y|) で測ると、等距離の集合が正方形になり、対数ズームがそのまま密教方壇の伽藍を無限に生む。幾何学は、何を距離と呼ぶかを変えるだけで別の建築になる。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE共鳴譜
52万粒の砂が、音を見る。振動する板の上で砂は動かない場所——節線——へ追いやられ、周波数ごとに違う紋様を描く。18世紀にクラドニが弓で見つけた図形を物理シミュレーションで解いた。マイクを許せば、あなたの声がそのまま幾何学になる。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE無限幾何回廊
アポロニウスのガスケット——円の隙間に円を、その隙間にまた円を詰めつづける操作を、永遠に潜行する。降りても降りても同じ形が現れるので、いま自分がミクロにいるのかマクロにいるのか分からなくなる。自己相似とは、尺度が意味を失うということだった。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE幾何の創世
はじめに、無があった。やがて最初の円が引かれ、二つの円が重なってヴェシカ・パイシスが生まれ、シード、フラワー、フルーツ・オブ・ライフへと展開し、ついにメタトロン・キューブが立ち上がる。そして形は再び無へ還る。聖なる幾何学の生成順序を、68秒の創世神話として。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVE生命と幾何学
黄金角で並んだ種子の格子に、チューリングの反応拡散系が芽吹く。二種類の物質が広がり方の速さだけを違えて混ざり合うと、珊瑚の縁や脳の襞に似た組織がひとりでに育ちはじめる。形は設計されたのではなく、拡散の速度差から出てきている。
2026 · WebGL2 · INTERACTIVECircle Limit
縁に近づくほど小さくなりながら、無限に詰まっていく生命の花。これは遠近法ではなく双曲平面の実物の姿で、中央の花と縁でほとんど点になった花は、その世界ではまったく合同である。平面には作れない「正六角形を4枚ずつ集める」敷き詰めが、曲がった空間でだけ成立する。
2026 · CANVAS · INTERACTIVE生命の花と、分化成長
閉じた曲線に節点を足しつづけ、隣とは引き合い、近すぎる相手とは反発し、向きは揃えようとする——たった三つの力から、腸壁の襞や脳の皺に似た形が現れる。神聖幾何学が与えるのは骨格だけで、どう茂るかは決めない。だから同じ格子から二度と同じ模様は出てこない。
2026 · CANVAS · INTERACTIVE